経営漫談士「三々な経営」・「続・三々な経営」

「大変」な時代

『大変な時代』は、1995 年に出版された故堺屋太一氏のベストセラー。二匹目の泥鰌を狙った?2011 年の堀井憲一郎氏『い つだって大変な時代』には思わずニヤリとしましたが、どちらも、冷戦終結後の「大きな変化」を短縮した巧みなネーミングです。 もっとも何が「大変」かは、時代や地域、テーマによっても違うので、ここは皆さんのビジネス目線に合わせ、「グローバル化」 「システム化」「IT・デジタル化」の切り口で、「大変」を考えます。但し今回は3つを概観するに止め、個別の変化は別途考察する ことにします。

変化1.グローバル化

「国際化」は、高度経済成長時代さかんに使われた表現ですが、最近はやや影が薄くなっています。いまや「グローバル化」が一般的で、それがさも当然のように使われていますが、これは結構、「曲者」。中国語でいう「全球化」企業は、果たして世界に何社存在するのでしょうか?実際のところ、地球の隅々に進出し、しっかり活躍している企業は、恐らく十指に満たないでしょう。

「グローバル化」の是非が問われる現在、我々はその言葉の安易な使用を止め、「国際化」を厳密に見つめ直すことから始める必要がありそうです。

変化2.システム化

「システム」とは、ある「目的」を達成するために「機能要素」を「適切に結びつけた」複合体のことです。日本語の「仕組み」同様、実に安易な使い方がされ、文系中心にコンピューターのことと勘違いしている人も多数存在します。しかしそんな経営者が采配を振るう企業に未来はありません。なぜなら、「経営」はヒト、 モノ、カネ、その他要素の有機的複合体であり、しかもいま複雑 化が加速しているからです。 従って、構成要素を分けて考える「論理的思考」だけで「大変 な時代」を乗り切ることはできず、それを超えた有機的な関係の 「システム思考」が、企業の成否を決めるカギになったのです。 変化3.IT・デジタル化 「大変」のトリは IT 化、とりわけ「デジタル化」です。これは企業 における情報処理と通信のコストを劇的に低下させました。さら にインターネットと高速ロジスティクスの発達により、様々な産業 のライバルが世界のあちこちに出現し、我が国の主要な企業を 苦しめるようになりました。

0.企業と経営者

1.環境のマネジメント(戦略、多角化、国際化、人材マネジメント、財務戦略)