1-O 帰国。からの資格の学習

経営統合を香港で迎えた私でしたが、統合を一緒に手掛けた両香港店の社長に代わって日本から新たに社長が任命されて赴任することとなりました。私は副社長として香港にとどまり、管理部門全体を統括する立場となりました。

関係性も良好に構築されて、風通しの良い組織が出来上がろうとしていました。
ところが統合して半年ほど経ったときに大きな問題が発生しました。このサイトでは書きづらい内容の問題で、管理部門を統括する立場の私には極めて頭の痛い問題でした。統合前から引きずっている統合相手側の問題でしたので、割り切って自分は関係ないと言い切ることもできなくはないですが、他人事では済ませられないし、誰かが処理・対応をせざるを得ないものです。香港店の存続を揺るがしかねない規模の問題でもありました。かなり精神的にもダメージの大きい仕事でした。さらに、その後香港から北京への移駐が決まりました。

北京にいた中国総代表から声がかかったものですが、この総代表がリーダーとしての資質に欠ける人物で、本当にまいりました。感情の押さえが聞かない。部下に対する配慮は一切せず、気に入らないことがあれば、時間・場所を問わず呼びつけ激しく叱責する。現在の基準で考えると、かなり重大なパワハラですが、当時はそういう人物は少なからず存在していました。彼らに共通して言えることは、彼ら自身が上司の命令をそのままに遂行して昇進したということなのだろうと思います。彼らの共通の発言は「俺が偉くなったら、お前らを引き上げてやる。(だから俺の言うことを聞け)」でありました。

精神的にも疲れ切ってしまった私は帰国して3か月ほど会社を休むことになってしまいました。

しかし、その後私の人生は大きく変わっていきます。会社に復帰した際に、当時本社の監査部長に就いていた先輩と会食をして公認内部監査人(CIA:Cirtified Internal Auditor)いう資格の勉強を進められたのです。なるほど監査の目線があれば、香港・北京での状況も違う形で対処できたかもしれないなと思い、現在はAbitusという社名になった資格の学校に通って受験に臨むことにしました。4か月ほどのコースだったかと思いますが、まじめに勉強してみたところ、1回の受験で4科目全て合格できました。それまで会社の仕事以外に勉強はほとんどしてきませんでしたし、資格にもあまり興味をもったこともありませんでしたが、ちょっと味を占めたのかもしれません。他にも資格にチャレンジしてみようかと興味が湧いてきました。

せっかくCIAを勉強したので、CIAで学んだビジネス全般の知識が活きるような受験科目の資格はないかと探してみたところ、中小企業診断士の受験内容が似通っている部分も少なくないことを知り、受験してみようかと思い立ちました。
やはり、独学で続けられる気もしなかったので、いくつか資格の学校を当たってみて検討しました。
当時Abitus以外選択の余地のなかったCIAに比べると、多くの資格学校が診断士コースを開設していて選ぶ所から苦労しました。最終的には当時診断士受験としては最も多くの合格者を輩出していたTACという資格学校に申し込みました。
苦労したのは勉強の中身についても同様でした。CIAに比べて科目は多く幅広いです。診断士の1次試験は7科目あります。企業経営に資する組織論やマーケティング論。財務会計。店舗や工場を運営するための管理理論。経済学、情報システム、法務、中小企業政策と非常に幅広く、誰もが得意分野になりそうな科目もあれば、受験するまで全く触れてこなかったような科目もあります。私の場合は情報システムや中小企業政策は全く触れたことがありませんでした。一つ一つの科目を学んでいくことはとても新鮮でした。また、これらの理論を学ぶ中で、自分の経験と合致する論点は極めて理解が円滑でした。
理論という一般化された抽象的説明に対して、自分の中で具体ともいえる経験値に照らし合わせて考えていったことが深い理解につながったものではないかと考えています。2次試験は4科目の論述形式で、これもまた極めて難しい。

中小企業診断士の受験勉強は1年数か月にわたりましたが、正直大学受験以上に深く勉強できたと思います。

中小企業診断士という資格は日経新聞によるとビジネスパーソンがとりたい資格第1位のようなので、次の機会でもう少し詳しくお伝えしてみたいと思います。

 

 

 



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