TAC八重洲校の私達の初学者クラスは申し込み時には100名くらいいたものの、1次・2次ともにストレートで合格した人は知る限り4人でした。意外に合格できないものなんだなぁとその時に感じたことを覚えています。
当時の中小企業診断士試験の合格率は1次20% 2次20%くらいだったから1次2次ストレートで単純計算すると20%x20%=4%でなるほど、100人のクラスで4人っていうのはそれなりに妥当な数字だったのだろうと思います。
4人のうちの3名は以前お伝えした勉強会の仲間でした。残る一人も勉強会はご一緒しなかったけれども良く話をする方でした。せっかく合格したから何かできないかなぁ、こんな考えが4人の中でそれぞれ生まれていたようです。
そんな時にTACの先生から、4人に合格体験談を話してもらえないかというオファーを頂きました。
毎年、合格者が次の受験生の講義に参加して体験談を話すということは実施されていました。
私は他の3人に提案をしてみました。何度か経験した過去の体験談があまり面白くないと思っていたからです。
おそらくは何の打合せもなく当日登壇して、講師からの「苦手科目は何ですか?」と言う質問にたいして、それぞれが答えると全員が「財務・会計です」とまるかぶりするようなことが良くあったためです。
4人がそれぞれ違うことを話そう、筋道たてて起承転結で4人で完結する話をしよう。
4人で打ち合わせてみると、それぞれやり方は違っているものの、勉強に対する姿勢のようなものが全員共通だったことに気が付きました。
まずは7科目を並行して勉強していくのではなく、1科目ずつ100%の力で深く学んでいくこと。復習も大切ですが、10%の力を1科目の復習に使ってしまうと7科目目を勉強する頃には100%ー6科目x10%=40%という学ぶ力が薄まってしまうという考えでした。当時のプログラムは1科目ずつ勉強した後に再度復習を何度も繰り返すようなものでしたので、1科目ごとに確りと予習したうえで本質的な理解まで深堀ができてしまえば、一旦忘れても復習すればすぐに思い出すということです。しっかりとした7つの橋げたを作りさえすれば、その上にかかる橋板は落ちてもすぐにつなげられるという模式図で「はしげた理論」と呼ばれています。
2つ目のストーリーはTACでは1科目の講座完了時に答案練習として1次試験のミニ版の確認テストが実施されていましたので、これで80点を目指すというものでした。診断士試験の合格ラインは60点です。60点目指せばよいかというとそうではないという意見です。練習で60点取れてとしても、本番の緊張の中で100%の実力がだせるものではない。だから練習では80点を目指す。本番では実力の80%しか出せなかったとしても64点で合格ラインを下回らないという理屈です。
3つ目は練習問題を重視するということ。インプットの学習はもちろんとても大事です。上のはしげた理論はインプットの姿勢を謡ったものです。一方で試験というものはインプットだけでは攻略できず、試験と同じようにアウトプットの試験対策もとても重要。問題集も購入してアウトプットの練習を怠らない。この練習をしっかりと進めていくと上記の答案練習で80点を目指すということが可能になってくるわけです。
最後のストーリーは全体のまとめに近いのですが、ストイックな姿勢がとても大切だということでした。
受動的にやらされるのではなく、自ら能動的に学習すること。楽しくてやっているので、予習もアウトプットも80点めざすことも全然苦にならない。気持ちがあれば合格するといえるほど楽な試験ではないのですが、気持ちがないと絶対に合格できないというものでした。
体験談を話して、その日に企画されていた受講生との懇親会にも参加させてもらって、これから受験する人たちの質問に次々と答えていく中で、我々4人は何かやらなきゃという気持ちが湧きたっていました。我々の学習のやり方は伝える意味があると。
その後、4人は中小企業診断士受験を支援するブログを開設しました。中小企業診断士一発合格道場と言います。とてもたくさんの方に読んで頂いていて、毎年の合格者が執筆メンバーとして参加してくれ、もう14年も続いている老舗になりました。
このブログを創設したことも私の人生の中では一つの転機になったように思います。